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ところ変われば品変わる!:ケータイの比較文化論
Different Places, different customs !:Comparative Cultural Studies on Mobile Media - 第12回公開研究会報告
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2010.8.28
第19回公開研究会報告「コミュニティをつなぐテクノロジー」
■日 時 :2010年5月8日(土)14時~18時10分
■会 場 :東京大学本郷キャンパス工学部新二号館9階93b
■登壇者 :
「ネビュラ」エキスポバージョン・プロジェクトチーム 水島久光(東海大学) 沼晃介(東京大学)
田中克明(東京大学先端科学技術研究センター特任助教)
橋本大也(データセクション株式会社/デジタルハリウッド大学)
堤智久(ローカル・ビズカフェ幹事/「つたえびと2」編集長)
[司会] 伊藤昌亮(愛知淑徳大学)
■共催 :メディア・エクスプリモ(JST CREST研究「情報デザインによる市民芸術創出プラットフォームの構築」)
■概要 :
概要報告アップがおそくなってごめんなさい!深くお詫びいたします。ここでトピックとなった「エクスポ・ネビュラ」(ネビュラ・エクスポバージョン)の後続活動として、武蔵野・三鷹メディフェス2010(9月4日〜5日)において「メディフェス・ネビュラ」を展開中です。ぜひアクセスしてに参加登録してください。下記の内容がよりよくわかっていただけるはずです。ここをクリック!
2010年度のメル・プラッツは「コミュニティをメディアから問う」という年間テーマのもとに出発しています。5月はその最初の研究会。2006年度からスタートしているCREST研究、メディア・エクスプリモがメル・プラッツと協働し、メルエキスポ2010で実践した「エキスポ・ネビュラ」をの振りかえりをしつつ、「コミュニティをつなぐテクノロジー」をめぐって議論を進めました。
□「技術」の力で自由な視座を
まず、「エクスポ・ネビュラ」のシステムを開発した沼晃介さん(メディア・エクスプリモ:東京大学特任研究員)と、その文化プログラムを担った一人である水島久光さん(メル・プラッツ:東海大学教授)のコンビから、メルエキスポでおこなわれたイベントと、そのからくりが説明されました。
すなわち、エクスポ参加者の声を質問のかたちでどのように集めたのか、それをどのように分類したり、評価軸上に位置づけたのかといった、おもに入力部分のしくみを中心として、文化プログラムと技術システムをどのように相関させて「ネビュラ」を実現したかが解説されました。
今のウェブ技術が、ユーザー中心といいながらユーザーをシステムの仕様に縛り付けたり、システムに知らないうちに取り込んでしまうことの問題、クラウド・コンピューティングが新たなブラック・ボックス化や情報管理につながることへの批判などがなされ、「ネビュラ」は情報技術の力を借りて、人間が自由な視座を獲得するための仕組みとなるよう構想したということが語られました。
□新たなコミュニティの創出へ
その後、3名の登壇者からコメントがありました。
まず、当時沼さんと同じ堀浩一研究室に所属し、同じメディア・エクスプリモの一員である田中克明さん(現一橋大学助教、当時東京大学特任助教)から、同研究室が取り組んでいる「ディコンストラクション・エンジン」という知識支援、創造支援システムの方向性の説明がありました。
そして今回の「エキスポ・ネビュラ」が、それぞれの出展者の自己紹介情報をもとに相互関係を可視化し、コミュニティを見出すという段階に留まっていたという指摘がありました。すなわち堀研究室の基本概念である「ディコンストラクション・エンジン」の理念に従えば、個別の出展者と自己紹介情報の結びつきをいったん切り離し、情報の自由な結びつきから新たなコミュニティを作り出すということまで射程に入れることができるはず。その観点から田中さんによって試作された「ネビュラ」のバージョンアップ版の一部が披露されました。
続いてネット・メディアのウォッチャーであり、プロデューサーである橋本大也さん(データセクション株式会社/デジタルハリウッド大学)からは、集合知を可視化する内外のさまざまなシステムの紹介があり、参加者の興味を引きました。
最後に、メルエキスポ2010に参加して「エクスポ・ネビュラ」を実際に活用してくれた堤智久(ローカル・ビズカフェ幹事/「つたえびと2」編集長)は、「つたえびと2」のあらましを紹介するとともに、「ネビュラ」のようなシステムで離れた地域の人々や活動がおたがいを知り、関わり合いを持つことが、今後の市民メディアにとってとても大切なことであるということを強調されました。
□参加型テクノロジーとしてのネビュラ
その後は所用で退席した水島さんの代わりに、ネビュラの全体のとりまとめをしている水越伸(東京大学教授)が加わり、伊藤昌亮さん(メルプラッツ・オーガナイザー:愛知淑徳大学)の司会でディスカッションをおこないました。この中で水越は「ネビュラ」を発想した経緯と、基本的性格を素描しました。
まず、個別の市民メディアやメディア・リテラシーの支援ツールとしてではなく、個別の営みを相互に関係づけ、全体のなかで俯瞰できるような仕掛けであるということ。しかも生真面目なアーカイブではなく、祝祭的でプレイフルな活動を誘引するものであること。情報技術をいたずらにブラックボックス化、オートマチック化せず、「コアシステム」は専門エンジニアの手によるものではあるが、それを活用するための「応用システム」は利用する一般の人々自身によってマニュアル操作できるような、いわば参加型のテクノロジーであること。
最後に、相互関係を可視化し、大勢で眺めたり、操作することはエキスポ2010でおおむね成功し、今後他の場でも応用実践していきたいが、じつはそれは「ネビュラ」に今後盛り込みたい機能の一つに過ぎず、たとえば個人で遊んでみるためのしくみ、個別のワークショップを具体的に支援するためのしくみなどといった、他の現れ方を模索していき、より総合的な技術システムであり、文化プログラムであるようなものとして展開していこうとしているということも明らかにしました。
□祝祭的!
これに対して橋本さんからは、「祝祭的」というのは面白い!という指摘がありました。たとえばメーリングリストで、100通目、2000通目といった切りのよい番号で自分が発言すること、つまり「キリ番ゲット」が異様に盛り上がること、うまく投稿できない人へのアドバイスでさかんにメールが飛び交うことなどを取り上げつつ、情報技術の使いにくさ、技術的制約が、かえって人々を集わせるのではないか。マネージされた混沌が必要なのではないか、そういうあたりを「ネビュラ」が目指すとすれば面白いのではないかということでした。
堤さんからは、情報技術をただブラックボックスとして受け取るのではなく、自分たちで差配できるポイントをつくって関わることが大切だということ、メディア表現には祝祭性は不可欠だというコメントがありました。また「ネビュラ」を社員研修で用い、社内の多様性を再認識するのは楽しそうだという指摘も。
田中さんからは、祝祭性や遊びを追求するならば、出展情報を出展者との結びつきから切り離し、情報の中身同士の自由な結びつきを遊びながら探求することでどのようなコミュニティが浮かび上がってくるかを試すべきではないか。それをやってみることが市民のメディア表現やリテラシーの新たな拡がりのためにも、知識支援、創造支援の工学としても興味深いはずだ語ってくれました。
今回の研究会は、前半の報告が質問項目の成り立ちという、「ネビュラ」全体の一部の説明に焦点をあてたこともあり、かなりむずかしい内容だったといわざるを得ません。しかし後半のディスカッションを経ることで、その全体像がおおまかに理解されたようです。メディア・エクスプリモとメル・プラッツでは協働し、今後も、いろいろな機会に「ネビュラ」を実践し、より多くの人に使ってもらえる技術システム&文化プログラムとして発展させていきたいと考えています。
参加者は主催者の予想よりもかなり多く、70名を超えていました。
報告者:水越伸(東京大学/メル・プラッツ運営メンバー)

