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「地域文化とメディア実践~瀬戸内で育まれる協働コミュニティ~」]

2009.12.19

第17回公開研究会報告
「地域文化とメディア実践~瀬戸内で育まれる協働コミュニティ~」

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■日 時 :2009年12月19日(土)14時半~18時
■会 場 :広島経済大学立町キャンパス
      広島市中区立町2-25 広島立町ビル4階 ※広島電鉄「立町」電停から徒歩1分
■登壇者 :[報告者] 平尾直政(RCC中国放送人事部長)、
            河本清順(シネマ尾道支配人)
      [コメンテーター] 小笠原由季恵(子どもコミュニティネットひろしま代表理事)、
                飯田豊(福山大学専任講師)
      [モデレーター] 土屋祐子(広島経済大学専任講師)
■共催:メディア・エクスプリモ(JST CREST研究)
■プログラム
14:30-14:45 挨拶とメルプラッツの紹介:
        メルプラッツ事務局+土屋祐子(広島経済大学)
14:45-15:25 報告(1)平尾直政(RCC中国放送):
       「島の子どもたちとの映像制作」
15:25-15:35 質疑応答
15:40-16:20 報告(2)河本清順(シネマ尾道):
       「尾道に映画館をつくる」
16:20-16:30 質疑応答
16:30-16:45 休憩
16:45-17:15 コメント:
        小笠原由季恵(子どもコミュニティネットひろしま)
        飯田豊(福山大学)
17:15-18:00 ディスカッション

■概要

 寒気が日本列島をいっきに覆った12月下旬、広島経済大学立町キャンパスで、第17回メルプラッツ公開研究会が開催されました。今回のテーマは「地域文化とメディア実践~瀬戸内で育まれる協働コミュニティ~」。地域におけるメディア実践は数多く存在し、また語られてきたのとは裏腹に、メディア活動を介して地域社会のあり方を継続的に考えていくことの意義や課題についての議論は十分にされてきたとはいえません。果たして「地域」とは何を指すのでしょうか?そして地域でメディア実践を行う意義はどこにあるのでしょうか?今回は、ともに広島で活躍しておられるRCC中国放送の平尾直政さんと、シネマ尾道支配人の河本清順さんをお迎えしてのセッションとなりました。


●平尾さんの報告
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 瀬戸内海の小さな島の子供たちと映像作品をつくるプロセスをドキュメントした『子どもと島とおとなたち』を制作した。きっかけは、百島の学校の先生から総合的学習の時間2コマ使って、カメラの使い方を指導してほしいと声がかかったこと。先生たちはパナソニックから機材1式があたってしまったために、子供たちにKWN(キッズ・ウィットネス・ニュース)に応募する作品をつくらせようとしていた。

 百島は過疎化が進んだ小さな島。本土でいじめや家庭の問題で保健室登校になった子供たちが島の学校に通っており、その半分が島出身ではない。当初は、やれといわれてやるだけの表情のない子供たちだった。しかし、数ヶ月たつうちに、変化が生じた。殻に閉じこもっていた子供たちがビデオカメラを持つことによって、徐々に会話が出来るようになり、島民とのキャッチボールができるようになってきた。何よりも島の大人たちが、インタビューなどを通じて子供たちを見守り、コミットしてくれたことで、子供たちも島に対して徐々に心を開いていった。「ビデオカメラは閉ざされた子供の心を社会に開いてくれる窓のような存在」――撮る・撮られるというのは関係性を切り結ぶことだと痛感した。また、映像制作において大切なのは、「伝え方」ではなくて、「受け止める力」であることも強く実感した。ただ、閉鎖された島だから出来たことで、都心では出来ないであろう。

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 フロアからは、パナソニックの主催するKWNの仕組み自体が、きれいな映像を評価するものであり、プロのみならずアマチュアの映像制作にも産業構造の問題が常に背景にあるのではないかという指摘や、それ故に、そうした映像で捨象されてしまう部分を平尾さんがドキュメンタリーにした意義も大きいのではないか、などのコメントが寄せられました。

●河本さんの報告
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 映画の街といわれた尾道に2001年最後の映画館がなくなって、ともし火が消えてしまった。私自身は映画業界とは縁遠かったが、市民映画館というかたちで映画を再生させ、NPOなどが運営している例があることを知り、自らもやってみることにした。

 映画館を再生させるには、映画館づくりの過程で館を自分の街の、自分のものであると認識できることが重要。そうした意識を高めてもらうために、映画館の改装を市民に手伝ってもらうことにした。また、あわせて市民に出資してもらう形に決めた。それが15万人の人口の尾道で映画館を支える方法。募金活動もはじめは難航したが、徐々に協力を得られるようになって、上映会を細々と続けた。やがて2700万円の改装費を募金から捻出することが出来た。

 映画館という場所を地域との連携として持続させていくことが重要で、それが長続きの秘訣。通常映画館はポスターを1,2枚しか注文しないが、うちは30枚注文して市民に街に張ってもらうなど、自分の街の映画館を支えるんだという意識を持ち続けてもらう仕掛けを設けている。また、トークイベントなどを企画して映画関係者を呼んだり、「こども映画教室」というワークショップを開催するなどの活動もしている。オープンから1年2ヶ月目のいま、採算は毎月ぎりぎり(「ソロバンと夢」のはざま)だが、コミュニティづくりとしての映画館の活動は意味があると感じている。

     *

 フロアからは、映画館の運営実態に関する質問がいくつか出ました。河本さんは、いろんな人たちに開かれた運営形態はうまく行っているが、まだまだ尾道の人々の中に映画を日常的に行く文化が根付いているとはいえないとして、今後は映画祭などを開催したいと意欲を語りました。

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●コメントとディスカッション

 休憩のあと、二つの発表を受けて、飯田豊さん(福山大学専任講師)と小笠原由季恵さん(子どもコミュニティネットひろしま代表理事)からコメントをいただきました。飯田さんは、こうした地道なメディア実践が尾道に複数あることはすばらしいと述べたうえで、それらが組織間のネットワークという観点からも、市民の学びの継続性という観点からも、「つながっていない」現状の難しさについて指摘しました。また、地域実践における行政的・組織的構造の困難について、自身の経験から話されました。小笠原さんは、同じ実践者としての目線から、地域実践と都市の規模の関係性について言及されました。今回の実践は二つとも地域がはっきりした生活密着型のプロジェクトだが、小笠原さんたちのフィールドである広島市という地域は人口120万人とかなり広く、一体感が持ちにくい中での実践は足場の弱いものになってしまいます。日本中のほとんどの大都市では、実はフィールドがあるようでないのです。地域という意識を持てない状況の中でコミュニティをつないでいく難しさがここにはあります。総じて、両者から同じ問題が提起されたといえるでしょう。

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 さらに、お二人の発表に感銘を受けたアスケダムさんが飛び入りでご自身がノルウェーで行っているデジタルシネマの活動について発表されたりと、地域実践を自ら行っている人々がお互い意見交換をしあう、賑やかな会となりました。最後にモデレーターの土屋祐子さん(広島経済大学専任講師/メルプラッツメンバー)が、コミュニケーションサイクルがうまく機能しているところが、地域であり、コミュニティといえるのではないかと締めくくりました。

 報告者:村田麻里子(関西大学/メル・プラッツ運営メンバー)

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