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「学校では教えてくれないメディア表現とリテラシー」]

2008.11.29

第10回公開研究会報告
「学校では教えてくれないメディア表現とリテラシー」

■日時:2008年11月29日(土)14時〜17時30分
■会場:東京大学本郷キャンパス工学部新二号館9階93b
    http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_18_j.html
■テーマ:「学校では教えてくれないメディア表現とリテラシー」

■タイム・テーブル
 14:00〜14:05 ご挨拶
  北村順生(新潟大学、メル・プラッツ オーガナイザー)
 14:05〜14:30 日本のメディアリテラシーの現状と今日のテーマについて
  本橋春紀(放送倫理・番組向上機構、メル・プラッツ運営メンバー)
 14:30〜15:20 プレゼンテーション(1)
  「幼児とメディアリテラシー」
      村野井均(茨城大学)
 15:20〜16:10 プレゼンテーション(2)
  「地域とメディアリテラシー 〜大磯町での住民参加型番組作りを例に」
      石川旺(上智大学)
 16:10〜16:20 休憩
 16:20〜17:30 トークセッション
   村野井均、石川旺、
   水越伸(東京大学、メル・プラッツ運営メンバー)
 17:30 終了

■概 要:

小学校5年生の「社会」や中学3年生の「国語」など、学校教育の現場で「メディアリテラシー」に子どもたちが接する機会が少しずつ増えてきました。 しかしその一方で、そのことによって「メディアリテラシー」は学校内の教育に封じ込められ、定式化されてしまう危惧も生じつつあります。メディアに関する 学習は、中学・高校生といった特定の年代に経験すればそれで済むというものではなく、本来メディア社会に生きる私たちが、生涯直面しつづける課題のはずで す。


今回の研究会では、時間的空間的広がりの中で「メディアリテラシー」の可能性を再考することをテーマに据えました。そ こで「就学前」に広げて学びの場面を考える意味で、幼児とメディア(とりわけテレビ)の関係について研究されている村野井均さんを、また「学校」の外で学 ぶ機会の創造を考える意味で、「地域」に焦点を当て地元神奈川県大磯町で地域住民のメディア活動に携わっておられる石川 旺さん(上智大学)をお迎えし、「学校では教えてくれないメディア表現とリテラシー」の実情と課題を話し合いました。

まず最初に、メル・プラッツ運営メンバーの本橋春紀さん(放送倫理・番組向上機構)が、「日本のメディアリテラシーはどこまできたか」と題して、 学校の現状やメル・エキスポの実績、さらには書誌データベースを検索した結果を交えながら日本のメディアリテラシーの歴史をレビューしました。メディアリ テラシーという概念がマスメディア批判と学校教育という二つの系譜をもって受容されてきたこと、しかし今日のデジタルメディア環境の中では、表現能力や送 り手-受け手間の循環を視野に置いた「その次のステップ」が求められることなど、今回のテーマを考えるポイントが提示されました。

次に村野井均さんは「幼児とメディアリテラシー」というテーマで、幼児がテレビとどのように向き合っているのかという、メ知られざる実態モについ て報告しました。「ドラえもん」や「アンパンマン」などに対する幼児のテレビ体験をつぶさに観察することによって浮かび上がってきたものは、我々のテレビ 理解を支えてきた「家庭」「集団視聴」といった環境的基盤の弱体化です。かつては学習雑誌のおまけや保育者の助言などもあって段階的に獲得されてきた子供 の現実認識は、今日テレビの直接性の前で極めて危うい状況にあるといえます。その中で非常に興味深かったのは、「子どもを説得する子ども」の存在。大勢で テレビに向き合うことによって発生するコミュニケーションが、例え子ども同士でも、ダイナミックに発達のプロセスを後押しするさまは、衝撃的でした。

石川旺さんは、放送文化研究所を経て、大学で教鞭をとられるようになったので、本格的に映像制作をはじめられたのは、NHK退職後ということにな ります。ずっと研究の立場で向き合ってきた映像を自分の手で制作し始めたのは「地域おこし」、すなわち自治活動の一環としてという意識に促されてのことで した。実際に始めてみて感じることは、地域の中の人間関係を維持することの難しさだそうです。地域のJCの元メンバーを中心に続けてきたCATVでの放送 も、メンバーが固定化し、取り上げるべきテーマも沢山見えているにも関わらず、継続するためのエネルギーは並大抵のものではありません。ご自身で取材に行 かれたカナダの、こうしたインディペンデントの映像制作をサポートする体制と比べると、現状は活動の社会的インパクトという点で、まだまだ考えるべき環境 的課題が大きいと訴えられました。

後半は水越伸さんがコーディネーターを務め、村野井さん、石川さんとのトークセッション。水越さんは、お二人がなさったような一見メ異分野モの報告 が交差することの重要性をまずは訴えました。そこからさらに、これまでの日本の教育を支配してきた「型」を学ぶスタイルの教育ではなく、こうした事例をも とに、コミュニケーションすることやその楽しさを出発点にした別の教育のありかたを考えることの意義などについて、議論は展開していきました。さらに参加 者を交えての対話の中で、教育における「夢」や「理想」と認識すべき「現実」の関係の問題が浮かびあがってきました。夢を持ち続けることも、現実を認識す ることも、ともに大切である−−だからこそ「醒めながら夢を見る」といった立ち位置を身につけていくことも、こうした「学校」外の学びの大事な課題である と、ディスカッションから確認できたことも収穫だったと思います。 (報告者 :水島久光/メル・プラッツ運営メンバー)


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